加齢とともに、筋肉や関節に表れてくる痛みの原因の中でも、特に多いとされているのが四十肩、五十肩といわれる症状です。
肩や腕がスムーズに動かなくなってきて、思うように上がらない、洗濯物が干しづらい、物が持ちづらいといった経験があるかたは、
この不調が原因の可能性があります。
四十肩や五十肩はなぜ起こるのか
肩の関節には「腱板」と呼ばれる組織があり、これが炎症を起こすと「関節包」にまで広がります。
関節包は肩の関節を包み込んでいる膜で、炎症が酷くなるとこの膜が癒着し、分厚い状態になってしまうのです。
この症状が「癒着性肩関節包炎」で、肩の可動域が狭くなってしまうのも、動かす時に痛みを伴うようになるのも、
これが理由となっています。
なぜこのような症状が引き起こされるのか、実は根本的な原因はまだはっきりしていません。
肩甲骨の働きも無関係ではないのではないか、腕の筋肉の衰えが影響しているのではないか、そうした考えもありますが、
加齢により肩まわりの状態に変化を感じるかたが多いことから、
こうした不調を総合して四十肩、五十肩という呼ばれかたがされているのが現状です。
四十肩や五十肩による痛みの変化
四十肩や五十肩は、痛みの表れかたによって急性期、慢性期、回復期に分けられ、
多くの場合には時間経過とともに徐々に改善していく症状でもあります。
まずは急性期、これは症状の表れ始めですが、肩や腕を動かすたびに瞬間的に痛みを感じるものの、
肩まわりが重くなってきたり、感覚自体は少し鈍くなり始めます。
デスクワークを長時間続けた後のように肩や首まわりが張ったり、頭を動かすと頓痛がするかたも少なくありません。
少し寝れば治るだろうと思っていたら、一晩経っても症状がなくならず、寝ている最中に痛みで目が覚めてしまうかたもいるほどです。
慢性期に入ると、安静時には痛みを感じにくくなりますが、肩や腕を稼働させるたびに違和感を覚え、
痛みを避けるために動かさないようになってきます。
こうなると少しずつ関節が硬くなっていきますので、ますます肩が動かしづらくなってくるのが問題です。
自分でもいよいよ、これは四十肩だ、年齢によっては四十肩ではなく五十肩だろうと感じ始める頃でしょう。
しかし、回復期に入り関節の炎症が治まってくると、痛みもなくなってきますから、少しずつですが稼働できるようになります。
治ったと喜びたいところですが、繰り返してしまうのが厄介なところです。
四十肩や五十肩の対処法について
四十肩、五十肩に効果的だとされているのが運動療法です。
原因と考えられている肩まわりの関節の緊張を解して痛みを緩和させ、可動域を広げていく効果を期待することができます。
普段からの運動習慣も影響してくるため、日頃から軽いストレッチやエクササイズを行うようにするといいでしょう。
また、患部を温めることで血の巡りをよくすることもすすめられています。
入浴、温シップ、カイロなどを当てるだけでも痛みが和らぎますが、火傷やのぼせにはくれぐれも注意しながら行うことが大切です。
傷みが激しい場合には、逆に寒冷両方が行われることもあります。
炎症を抑えるためにアイスパックなどの使用しますが、こちらも長時間使用すると筋肉が硬くなってしまうので気をつけてください。
いずれも自己判断で誤った対応をすると、症状を悪化させてしまう可能性もあるため、くれぐれも無理をしないことが前提になります。
少しでも違和感を覚えたら、すぐにでも専門機関に相談をするようにしましょう。
四十肩や五十肩は、加齢により誰の身にも起こり得る症状です。
しかし、正しく対処していけば、軽い症状で済ませることもできます。
ただ、原因がはっきりしないこともあり、場合によっては別の病気の影響を受けていることもありますので、
不調を感じた段階で一度診てもらうことも考えましょう。